系統用蓄電所とは、電力系統に直接接続する大規模蓄電池のことです。大型の蓄電池を設置して、電力系統から深夜などの電力が余っているときに電気を安く買って充電し、電力が不足する時に電気を売ることで電力需給の安定を図ります。
電柱や鉄塔に繋いで蓄放電するので、他の蓄電池と違い発電システムは近くにある必要はありません。電力の急激な需給変動を緩和する役目も期待されています。
※1)電力系統:電力会社が電気を消費者に供給するためのシステム全体のこと。発電所・変電所・送電線・配電線などの設備。
系統用蓄電池とその他蓄電池のシステムは、電力系統との接続状況に関して大きく異なっています。
基本的に系統用蓄電池以外は系統に電力を流すことをせず、自家消費を目的としています。
電力系統(送配電網)に直接接続されており、蓄電システムに貯めた電気を電力市場で売電できます。 再生可能エネルギー発電設備を併設して、系統用蓄電システムと再エネ設備を併用して使うことも可能。規模は大きく、系統安定化や市場収益を目的に運用されることが多い
一般の住宅に設置されている蓄電池です。電力系統には接続されていません。規模は小さく、太陽光発電システム等と併設したり、夜間電力を溜めて使う場合などに使われます。主に自家消費用です。
ビルや工場、倉庫といった大きな施設や、商業施設に設置されている定置用蓄電池です。施設内で自家消費用に用いられるほか、災害時には非常用電源として利用されます。
時間・瞬時・容量の差を使って収益化
1. 卸電力市場(スポット市場・日中市場)
卸電力市場「JEPX(日本卸電力取引所)」は、電力の売買が行われる一般的な市場です。電力会社や事業者は、1時間単位で翌日の需要に合わせて電力を売買します。時間帯や需要に応じて電力価格が変動するのが特徴です。
電気料金単価力が安いときに買って蓄電し、電気料金単価力が高くなった時に売電することでその差額が利益になります。
例えば右の2025年5月5日の実例でいうと、仮にこの日の最安値で3MW(3,000kW)蓄電し最高値で売電した場合、購入金額990円、売電価格39,210円となり、差額の38,220円が利益となる計算です。
■購入 0.33円/kwh×3,000kW=990円
■売電 13.07円/kwh×3,000kW=39,210円
■利益 39,210円-990円=38,220円
※JEPX 日本卸電力取引所「取引市場データ」を元に作成
2. 需給調整市場
電力は貯めておくことが難しく、常に消費と発電のバランスを取る必要があります。
需給調整市場は電力の需要と供給のバランスをリアルタイムで保つための市場です。
一般的な「売買」ではなく、アグリゲーターを通じて電力の不足や過剰時に系統を安定させるためのサービスを提供することで、その対価として報酬を受け取る仕組みです。
系統のバランス維持に貢献した分の報酬を得る形なので、需給バランスが崩れた時にすぐ対応する即応性が求められます。機械制御や遠隔自動化の性能が重要です。
なお、報酬は一定ではなく大幅にバランスが崩れるような緊急時には高く、緊急でない場合は低めに設定されています。
※JEPX 日本卸電力取引所「取引市場データ」を元に作成
3. 容量市場
容量市場は、将来の電力不足に備えて「必要な時に供給できる能力(kW)」を確保する市場です。
短期的な電力量取引だけでは発電所の新設や更新費用の回収が難しく、火力発電などの調整可能な設備が不足すると、電力の安定供給に支障をきたす可能性があります。容量市場では、系統用蓄電池も出力能力を提供して報酬を得られます。年間最大12回、1回3時間の発動指令があり、平時は卸電力市場や需給調整市場で収益を得ながら参加可能です。
デメリットは、オークションが実取引の約4年前に行われるため収益化まで時間がかかることと、発動タイミングが直前まで分からず機会損失やペナルティのリスクがある点です。
※JEPX 日本卸電力取引所「取引市場データ」を元に作成
系統用蓄電池の接続検討・接続契約の件数は、直近1年間で約3倍と急増していており、今後も導入が進む見込みです。
また、足元(2023年)の実績を参考にした国内における2030年の系統用蓄電池の導入見通しは、約14.1~23.8GWhと見込まれています。
さらに、国際的にも、定置用蓄電池の導入が拡大。蓄電池を含む世界全体のエネルギー貯蔵能力は、2030年には2023年の6倍に増加すると試算されています。
CATLの蓄電システムは、送配電のスマートな負荷管理を実現し、電力網の負荷に応じて周波数とピークを時間的に変調させます。CATLの電気化学蓄電システムは、容量の増加や拡大、バックアップ電源などの機能を備えています。送配電網の安全、安定性、効率、低コストの運用を保証するために、より多くの再生可能エネルギーを送配電で採用することができます。
CATLの蓄電システムは、送配電のスマートな負荷管理を実現し、電力網の負荷に応じて周波数とピークを時間的に変調させます。CATLの電気化学蓄電システムは、容量の増加や拡大、バックアップ電源などの機能を備えています。送配電網の安全、安定性、効率、低コストの運用を保証するために、より多くの再生可能エネルギーを送配電で採用することができます。
参考:
大規模系統用蓄電所を随時開発設置いたします。
大型蓄電池を電力系統に接続し、電力の余剰時には充電し、不足時には放電することで、電力需給の安定化を図ります。蓄電池は電力の充放電を機動的に行える特徴があるため、電力需要の状況に合わせて、供給力の調整を迅速に行うことが可能です。